イギリスで明太子を作る
イギリス生活累計20年強。年末年始のお味噌の仕込み、杏子で作るなんちゃって梅干し、白菜漬けなど色々なものを作ってきましたが、一つ、頭の片隅にずっと存在していたけれど手を出せなかったものがあります。
それは、明太子。どうせ、美味しくできないだろうなという最初からの諦め、そして大好きだけれども、実はどうやって作られているのか、想像がつかず、謎な食べ物であったことから、作ってみようというヤル気も出なかったのです。日本では、明太子は買うもの。または、贈答品としていただくものだからかもしれませんね。
お味噌も、梅干しも、お漬物も、幼少期におばあちゃんが作っているのを見ており、その記憶があります。だから食べたければ作ってみようという気にもなります。
ギリシャ食材が豊富なイギリス。その辺のスーパーに行けばタラマサラータ (taramosalata)というものが安価なお値段ですぐに購入できます。タラマサラータも鱈の卵を使ったディップなので、当然、たらこのような味はします。とはいえ・・・明太子からは程遠い。タラマサラータはやはり洋風ディップであり、白ご飯を美味しくするものではない。明太子は明太子であり、あの白ご飯にぴったり寄り添う、塩気の効いた複雑なウマミの塊こそが日本人の心に刺さるものです。
イタリアには、カラスミ(英語でBottarga)があり、キャビアだって、魚卵。魚卵や魚の卵巣をいただく文化は日本だけではない!なので、ちょっと良さげな地元のお魚屋さんには、魚卵や魚の卵巣を置いてあることがあります。人種の坩堝、移民の国、イギリス万歳!2月あたりは鱈の卵 (英語で Cod Roe)のシーズン。
たまたま、食通の友人 @gohankitchen さんとお魚屋さんに立ち寄った、2月末。季節柄、巨大な鱈の卵巣と思われるものは並んでいるが・・・明太子からは程遠い。いやいや、そこで、すかさず、@gohankitchen さんが「小さいタイプ Cod Roe ありますか?」と聞くと、奥から箱ごと出してきてくれました!!小さなタイプの魚の卵巣を求める人たちはさすがに少ないのかもですね。
というわけで・・・めでたく、図らずも、明太子の主原料である、小さなタイプの鱈の卵巣を入手してしまったのです。友人に乗せられた感強しですが!
そういった経緯で、明太子を作ってみるしかないな・・・という状況に陥り、作ってみました。まずは、色々とリサーチ。ネットには情報が溢れている。AIに質問すれば、即答してくれる。自分で一番しっくりくるレシピを見つけ、自分なりの工夫をして作ってみました。結局、明太子も保存食!
乳を保存食に変えてしまうチーズと原理は同じ。結果、本職であるチーズ知識(チーズの審査経験)も活かされたのです。チーズは人類が初めて作った加工保存食。
明太子、意外にも工程は簡単ですが、味付けの判断力は必要。旨み、塩味、甘味、そして辛みのバランスはとても大切。日本酒を使うなら、どんな日本酒を使うのか?出汁はカツオか昆布か両方か?砂糖にするか、味醂にするか??辛子は使う?などなど・・・
結論。想定よりも遥かに美味しいものができました。紛れもなく、明太子。妙な達成感。日本への一時帰国の際は、優先的に努めて食していた明太子。既製品は化学物質も多く、原材料を見てみると実に色んなものが表記してありますが、明太子のあの美味しさには抗えず、ついつい食べてしまいます。九州人なら尚更!今更ながらに、辛子明太子は韓国から福岡へ伝播されたものという史実も知ってしまいました。
一番のポイント・・・手作りすることで、化学物質の摂取量を極限まで減らすことができます。明太子もきっと人間の叡智を活かして生み出された保存食。自然の力を活用し、人が手作りしていた時代があるはず。だったら、私たちにできないはずはないのです。ナチュラルな美味しさは良いものです。優しい味わいです。
今回、調味料のベースレシピとなったのは、オレンジページさんのこちら(↓)。粉唐辛子無し*。
生の卵巣を日本酒と塩に漬けて、たらこにするという前処理が必要です。卵巣→たらこ(塩たらこ)→明太子
https://www.orangepage.net/recipes/302264
食す前に、一度、48時間ほど冷凍し、解凍することで、確実にアニキサスのリスクをほぼゼロにできます。素人が作る場合、これくらいのリスク管理をすることをお勧めいたします。